small__4901961781前回の続きです。不登校の生徒Kくんを受け持つことになった当時大学生の僕でしたが、初日はまったく勉強をしてもらうことができませんでした。今までに全く扱ったことのないタイプの生徒に対し、どう接していけばいいのだろうか、と必死に頭を捻らせ、1週間後、僕は一つの案を浮かべて家を出ました。

 
 
|まだ勉強はしなくてもいい
前回の様子から、今の彼にとっては他人に会うことですら大きなストレスであって、いきなり勉強というのは負担が大きすぎたかもしれない、と考えました。そこで、今回は一切「勉強」という言葉を出さないようにしよう、と決めました。心を少しでも開いてもらえればそれでいい、まずはそこからスタートしよう、と。
 
少しでも外の空気を吸った方が体にも心にもいいだろう、と思い「Kくん、ドライブしようか?」と持ちかけた所、彼は渋々ではありましたが、「わかりました。」と答えてくれたので、2回目の授業は家の外でドライブとなりました。

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Kくんの家の近くには緑のきれいな山沿いのドライブウェイがたくさんあり、いい気分転換だろうと近くの山を目指しました。空が青々としていい天気でした。僕はくだらない冗談を言ってみたり、自分が通っている大学の話をKくんにしていました。彼は前回とは様子もちがって、とても楽しそうに話を聞いてくれました。ただ、逆にKくん自身のことも聞いてみましたが、まだあまり自分のことを話すのには抵抗があるようでした。
 
 
|また勉強をやってみたい
3回目の授業でも、ドライブに行きました。今度は行き先を少し変え、近所の大学の近くまで言ってみよう、と話をしてKくんを外に連れ出しました。この頃になるとようやく僕にも慣れて来たのか、自分自身の話も少しずつしてくれるようになりました。とにかく高校は自分には合わなかった、人間関係がとてもストレスになった、ということも打ち明けてくれました。

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今でもよく覚えていますが、大学をぐるっと見て回った後、その帰り道の車内です。春先のあたたかい夕暮れ時でした。助手席のKくんが、決心したように僕に言いました。
 
「先生、今度からまた勉強やってみたいです。お願いします。」
 
Kくんは本当は始めから勉強しなきゃ、と考えていたんだと思います。真面目でしっかりした性格なのは、3回会って話しただけで十分伝わってきたし、そんな彼だからこそ、失敗することに臆病になっていただけなのではないかと思います。勇気を出して一歩踏み出した彼を、全力で応援しようと誓いました。
 
 
|高卒の資格がほしい
実はその頃の彼は、すでに高校を退学してしまっていました。もう一度高校に戻るのは無理だけど、せめて高卒の資格はほしいと言う本人とご両親の願いで、高認試験(高校卒業資格認定試験)に向けて勉強をすることになりました。
 
彼が通っていた高校は地元でも有名な進学校で、実力は申し分なかったのですが、問題は彼が高校2年生の春から不登校だったことです。つまり、高校1年の内容しか頭に入っていないのに、高校卒業資格を取らなければならないということで、きちんと努力しなければ当然残念な結果にもなりえます。
 
始めのうちは宿題を忘れたこともありました。勉強がやっぱり嫌だといった時期もありました。その度に励まし、色んな困難を乗り越えて、結果Kくんは1年間やり通しました。そして見事、高卒の資格を取ることに成功しました。僕も自分のことのように嬉しく、またKくんのがんばりに感動しました。ただ、ここで自分の役目は終わりか、という少し寂しい思いもありました。
 
 

2回で終える予定でしたが、やはり長くなってしまったので次回に続きます。

 

◆家庭教師指導について(9/23)

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